「手術は怖い。できれば受けたくない」という気持ちは、十分に理解できます。まず最初にお伝えしたいのは、椎間板ヘルニアの方のおよそ7割は、手術なしで症状が改善するということです。

保存療法で改善する可能性について

飛び出したヘルニアは、免疫細胞の働きによって自然に縮小・消失することがあります。この「自然経過」が期待できるのが、椎間板ヘルニアの特徴の一つです。薬による痛みのコントロール、リハビリ、ブロック注射といった保存療法を継続しながら経過を見ていくことは、多くの場合で理にかなった選択です。私自身、患者さんに「まず3ヶ月、保存療法で様子を見ましょう」とお伝えすることもあります。

早めに専門医に診ていただいた方がよい症状について

ただし、一部の症状については、時間を置くことで神経の回復が難しくなるケースがあります。足に力が入りにくい、つま先立ちや踵立ちがうまくできないといった筋力の変化、尿・お通じが出にくい、尿意・便意を感じにくいという排尿排便の変化、お尻周りや足の感覚が鈍くなってきたという変化がある場合は、早めに専門医に診ていただくことをお勧めします。これらは神経への圧迫がより深刻になっているサインである可能性があり、こうした症状がある場合は時間的な余裕が少ないことがあります。

手術を検討するタイミングについて

保存療法を3ヶ月程度続けても痛みやしびれが改善せず、日常生活や仕事に大きな支障が続いているという場合に、手術という選択肢を検討するのが一般的です。手術そのものが正解でも、保存療法が正解でもありません。症状の種類や程度、仕事や生活への影響、そして何より本人の気持ちによって、最適な判断は変わります。手術には大なり小なりリスクが伴いますし、再発の可能性も術後5%程度と言われています。一方で、保存療法を続けることで症状が長引き、生活の質が低下し続けるという側面もあります。

どう判断すべきか迷っている方は、ぜひ外来でご相談ください。材料を一緒に整理した上で、最終的にどうするかはあなた自身のペースで決めていただければと思います。

油井 充(脊椎脊髄外科専門医・脊椎内視鏡下手術・技術認定医[3種─経皮的内視鏡下脊椎手技])

油井 充
油井 充(ゆい みつる)
脊椎外科医 | 日本整形外科学会 脊椎内視鏡下手術・技術認定医(第3種)
FESS(脊椎内視鏡手術)を専門とし、体に負担の少ない低侵襲治療を追求しています。