脊椎内視鏡手術について
小さな傷で、体への負担をできるだけ少なくする手術です
「脊椎の手術=大きく切る・入院が長い」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
現在は、内視鏡を用いた低侵襲手術(体への負担が少ない手術)が進歩しており、症状に応じてさまざまな選択が可能です。
当院では、FESS(全内視鏡下脊椎手術)をご提案しています。
FESS(全内視鏡下脊椎手術)という選択
当院で力を入れているのがFESSです。
特徴
- 傷の大きさ:約8-10mm
- 筋肉をほとんど傷つけない
- 局所麻酔で行える場合もある
メリット
- 術後の痛みが少ない
- 回復が早い
- 早期の社会復帰が可能
- 資格を持っている医師の場合、技術レベルが一定。
「できるだけ切らずに治したい」という方にとって、非常に有力な選択肢です。
それぞれの脊椎内視鏡手術には特徴があります。違いをわかりやすくまとめると以下の通りです。
MED・FESS・UBE(aFESS) 比較表
| 項目 | FESS (全内視鏡下脊椎手術) | MED (内視鏡下手術) | UBE/aFESS (2ポート脊椎内視鏡) |
|---|---|---|---|
| 傷の大きさ | 約8~10mm | 約2cm | 約5〜8mm ×2か所 |
| 侵襲(体への負担) | 非常に少ない | 少ない | 少ない |
| 視野 | 非常に広い | 安定している | 非常に広い |
| 操作性 | やや制限あり | 良好 | 非常に良好 |
| 対応疾患 | ヘルニア、狭窄症 | ヘルニア、狭窄症 | ヘルニア、狭窄症 |
| 麻酔 | 局所〜全身 | 全身麻酔 | 全身麻酔 |
| 術後回復 | 非常に早い | 早い | 非常に早い |
| 入院期間 | 日帰り〜短期 | 数日程度 | 日帰り〜短期 |
| 特徴 | 最も低侵襲 | 実績が豊富 | 除圧力が高い |
FESSとUBE(aFESS)の違いについて
最近では、UBE(aFESS)と呼ばれる、傷を2か所に分けて行う(2ポート)内視鏡手術も広く行われるようになってきました。
FESSと比較されることが多いですが、実は傷の大きさ自体には大きな差はありません。
どちらも小さな傷で行える、体への負担が少ない手術です。
ただしUBE(aFESS)はここ2〜3年で急速に普及してきた新しい手術方法です。
そのため、現時点では統一された技術認定制度が十分に整っていないのが現状です。
その結果、医師によって技術や経験に差が出やすいという側面があります。
FESSは技術認定制度があります
一方、FESSには技術認定医制度があります。
一定の基準を満たした医師のみが認定されるため、手術の質が比較的安定していると考えられます。
従来の手術との違い
従来法(開放手術)
- 傷が大きい
- 筋肉へのダメージが大きい
- 回復に時間がかかる
内視鏡手術
- 傷が小さい
- 筋肉を温存できる
- 回復が早い
体への負担という点では、内視鏡手術は大きく進歩しています。
ただし「FESSが万能」ではありません
ここがとても重要です。
FESSは優れた方法ですが、すべての方に適しているわけではありません。
- 狭窄の箇所が多い
- 強い不安定性がある
このような場合には、従来法の方が適していることもあります。
当院の考え方
「できるだけ体にやさしく」
「しかし安全性と確実性を最優先に」
このバランスを大切にしています。
そのためFESSにこだわりすぎず、患者さん一人ひとりに最適な方法を選択します。
実際に私の外来でも従来法の手術をお勧めすることもあります。
※当院では椎間板ヘルニアはほぼ全例FESSで、脊柱管狭窄症は8割FESSで2割程度が従来法です。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 本当に傷は小さいのですか?
はい。FESSでは約8-10mm程度の小さな傷で手術を行います。
術後に「思ったより小さい」と驚かれることも多いです。
Q. 手術は痛いですか?術後の痛みが心配です。
A:手術中は麻酔により痛みはコントロールされており、術後の痛みも従来の手術に比べて劇的に軽いのが特徴です。
手術中は専門の麻酔医がしっかりと管理を行うため、痛みを感じることはありません。手術後についても、FESSは8-10mmの小さな傷口で済むため、筋肉や組織へのダメージが最小限に抑えられます。
実際に、過去に従来の手術法(大きく切開する方法)を経験されたことのある患者さんからは、「今回の内視鏡手術は、術後の痛みが驚くほど軽い」と驚きの声をいただくことが非常に多いです。
ほとんどの患者さんが、手術当日からご自身で立てる程度の痛みで済んでおり、早期の歩行開始が可能です。
Q. どのくらいで歩けますか?
多くの方が手術当日〜翌日には歩行可能です。
※状態により個人差はあります
Q. 入院は必要ですか?
病状によりますが、短期入院で済むことが多いです。
当院では腰椎椎間板ヘルニアは3-4日の入院、腰部脊柱管狭窄症は6-7日の入院であることがほとんどです。
Q. コルセットはしますか?
コルセットはオーダーメイドで作成するのではなく出来合いの物を術後4‐6週間使用します。出来合いの物は柔らかすぎる物や幅が狭い物もあり適さない場合もあります。今まで使用していた物を使用したい場合は持参して頂ければそれで良いか判断させて頂きます。
お風呂はいつから入れますか?
退院時からシャワーは入れます。
ただしお風呂に入るのは手術後の最初の外来後からになります。
Q:運動はいつから可能ですか?
A:退院後の経過を見ながら、以下のステップを目安に再開してください。
手術後2週間まで:まずは軽い散歩(ウォーキング)から始めてください。
手術後2週間以降:ジョギングなどの軽い有酸素運動が可能になります。
手術後5〜7週間以降:ウェイトトレーニングや一般的なスポーツ競技への復帰を目指します。
具体的にこのスポーツをしたいという希望があれば外来でどれ位で復帰可能かお答えします。
一般的に人とぶつかり合ういわゆる『コンタクトスポーツ』は復帰まで時間がかかります。
Q. 何歳くらいまで手術を受けることができますか?
年齢だけで「手術ができない」と判断することはありません。
私の経験では、上は92歳のご高齢の方から、下は16歳の学生さんまで、幅広い年齢層の方がFESS手術を受けられています。
もちろん、心臓や肺などの機能が著しく低下しており、全身麻酔のリスクが非常に高い場合には、手術を断念せざるを得ないケースもあります。
しかし、「もう高齢だから手術は無理だろう」と諦めてしまうのも、もったいないことです。「いつまでも自分の足でしっかりと歩きたい」というお気持ちがあるのなら、年齢に関わらず、まずは一度ご相談ください。お一人おひとりの全身状態を専門医の視点で慎重に評価し、最適な選択肢を共に考えてまいります。
Q:手術・入院費用はいくらくらいかかりますか?
A:多くのケースで「高額療養費制度」が適用されるため、自己負担額には一定の上限があります。
当院での脊椎内視鏡手術(FESS)は保険診療の対象です。手術や入院にかかる総額は数十万円単位になりますが、窓口で支払う金額は、患者様の年齢や所得に応じて定められた「自己負担限度額」までとなります。
高額療養費制度とは?
家計の負担が重くならないよう、1ヶ月(1日から末日まで)に医療機関の窓口で支払う金額が、一定の金額を超えた場合に、その超えた分を国が支給(還付)してくれる制度です。
- 一般的な現役世代の方の場合:
年収等によりますが、1ヶ月の自己負担額はおおよそ8万〜9万円前後になるケースが多いです(所得区分によって異なります)。 - 70歳以上の方の場合:
さらに負担額が軽減される仕組みがあります。
さらに負担を軽くする「限度額適用認定証」
入院前にご自身の健康保険組合から「限度額適用認定証」を申請・取得し、病院の窓口に提示していただくことで、最初から限度額までの支払いで済ませることができます。大きな金額を一時的に立て替える必要がなくなるため、事前の手続きをお勧めしています。
※食事代やリネン代、個室代等は別途になります。
※具体的な金額や手続きの詳細については、さいたま記念病院の医事課(窓口)でも詳しくご案内しておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
- 脊椎内視鏡手術は体にやさしい治療法
- FESSは特に低侵襲で回復が早い
- ただし最適な手術は人によって異なる
大切なのは「方法」ではなく「その方に合った治療」です。