脊柱管狭窄症と診断されたとき、多くの方が悩むのが「手術が必要なのか?」という点です。
結論から言うと、すべての人に手術が必要なわけではありません。
ただし手術するタイミングが遅いために術後に何かしらの症状が残ることが多い印象です。
この記事では、どのような場合に手術を検討するべきかを、個人的見解を踏まえて脊椎外科医の立場から分かりやすく解説します。
手術が必要かどうかの基本的な考え方
脊柱管狭窄症の治療は、まず保存療法から始めるのが基本です。
薬やリハビリ、ブロック注射で症状が改善する場合は、手術を行う必要はありません。
一方で、日常生活に支障が出ている場合や、症状が進行している場合には手術を検討します。
手術を急がなくてよいケース
すべての脊柱管狭窄症が手術になるわけではありません。
・症状が軽い
・日常生活に支障が少ない
・改善傾向にある
このような場合は、保存療法で様子を見ることが一般的です。
手術を検討する一般的な具体的な目安
以下のような場合には、一般的に手術を検討することが多くなります。
・歩ける距離が痛みや痺れでどんどん短くなっている(1回に通常のスピードで歩けるのが5~10分)
・薬やリハビリで改善しない
注意が必要な症状(早急な受診が必要)
次のような症状がある場合は、注意が必要です。
・足に力が入りにくい(脱力)
・つまずきやすい
・排尿や排便の異常
これらは神経のダメージが進んでいるサインの可能性があり、早めの診断が必要で場合によって緊急的な手術が重要です。脱力に関しては神経の障害されている場所にもよりますが、足のゆび先の力が入りつらい、また足首に力が入りつらいという症状が手術しても残りやすい症状の代表格です。
手術について
手術では、神経を圧迫している部分を取り除きます。
最近では、体への負担をできるだけ少なくするために、小さな傷で行う脊椎内視鏡手術(FESS)といった方法もあります。
また、従来法の手術をお勧めすることもあります。
患者さんの状態に応じて、最適な治療方法を選択することが重要です。
脊柱管狭窄症手術に対する私の考え
脊柱管狭窄症では、すべての人に手術が必要なわけではありません。
一般的な手術するタイミングは上記の通りです。
さらに私の外来では、次のような症状の方が手術を受けることがあります。
・痛みが強く、夜も眠れない
・薬を続けているが、やめると症状が悪化してしまう
・15~20分程度歩くと足の痛みやしびれで休まないといけない(間欠性跛行)
・座っていると痛みが強く、長時間座っていられない
このように日常生活に支障が出ている場合には、手術を検討する一つの目安となります。そしてこれらの症状が長ければ長い程術後の症状が残りやすいと考えています。私はこれらの症状が1~2か月も続いていて内視鏡下での手術が可能な場合は手術をお勧めしております。
これらは一般的には少し手術が早いタイミングかもしれません。しかし術後の症状が比較的残りつらいタイミングであると個人的に考えております。上記の様な一般的なタイミングで手術を受けると術後の症状が残りやすいのが現状です。これは今まで数千人の患者さんを手術して患者さんの術後の症状をお聞きした上での結論です。
またよく足の裏に
「砂利を踏んでいる感じ」や
「紙が1枚はさまっている感じ」
のような違和感が出ることがあります。
この症状は、手術後に最も残りやすい症状の一つです。
痛みやしびれが改善しても、この足の裏の違和感だけは最後まで残るケースが少なくありません。
特に、症状が出てから1年以上経っている場合は、手術を行ってもこの違和感が改善しない可能性が高いため、私はその点をはっきりお伝えしています。そしてこの話を聞いてがっかりされるご高齢の方が多いのが現状です。
一方で、症状が出てから3〜6か月以内であれば、改善する可能性は十分にあります。
そのためこの症状については、
「どこまでの改善を期待するか」を踏まえて、
手術を受けるかどうかを患者さんに選んでいただいています。
一方で、症状が進行しすぎてしまうと注意が必要です。
例えば、
「痛みが強く横になったままで座れない」
「立つことも難しい」
といった状態まで進行すると、手術を行っても十分に歩行機能が回復しない、つまり歩けなくなる可能性もあります。
少し怖いお話もしましたが、「まだ大丈夫」と思って受診が遅れるケースも少なくありません。
症状が悪化する前の段階で、整形外科を受診し適切な治療を検討することが大切です。
私の診察やFESS手術のご相談は、さいたま記念病院にて承っております。
電話でのみ予約を承っております。なお紹介状を持参された方が待ち時間が少なく済みます。
さいたま記念病院 (048-686-3111)
文責 油井 充(日本整形外科学会 脊椎内視鏡手術 技術認定医3種)